理由(宮部みゆき)

理由 (朝日文庫)

理由 (朝日文庫)

荒川の高層マンションで起きた一家四人殺し。しかしそこに住んでいるはずの家族はほかの場所で暮らしていた。殺されたのは誰か、殺人者は誰なのか。事件はなぜ起こったのか。家が、家族が、そして人が徐々に壊れていく。

状況整理能力が問われます。

ひとつの事件について、関係者はどれくらいいるのか。それがまして、大きな事件であればあるほど、その人数はとてつもなく多い。

理屈ではわかるけど、ここまでたくさんの人を登場させることができるものはそうはないと思います。何人もの人が証言をする中で、その内容が一致していたり、相反していたりすること、それが道理だ、と改めて気づかされます。一人一人の場合において、その人が見えるものは限られてるし、一面的であるのは当然のことで、そしてそのそれぞれに事情や背景といった理由が存在している。僕にしてみれば、そんなことを気づかせてくれる話でした。

ああ、本当、この人タイトルつけるのうまいなぁ。