流星ワゴン(重松清)

流星ワゴン

流星ワゴン


ひきこもり、暴力をふるう息子、浮気を重ねる妻、会社からはリストラ寸前…そんな37歳・秋。「死んでもいい」と思っていた僕は、ある夜不思議なワゴン車に乗り、自分と同い歳の父と出会った。家族小説の新境地を拓く長編。

他人どころか家族でも心なんてわからない。

個人的には久しぶりにヒットしました。重松清さんの小説は今までに2冊しか読んだことないけど、多分こういう話を書かせるとかなりヤバイのだろうと思います。前は「舞姫通信」でヒットされました。人の生死とか、人生のやり直しとか、そういう言葉にピンと来たら読んでみるといいのかもしれません。

人生にはターニングポイント、というのが少なからず存在すると思います。それは、たとえば受験だったり、就活だったり、恋愛だったり、結婚だったり、それこそいくつかの「人生の波」と言われるようなタイミング、とでも言えばよいでしょうか。たいていの場合は、自分の選択の瞬間という奴なのでしょう。しかし、この作品においてのターニングポイントはまったく違います。それこそ、日常の中に潜んでいて、ふとしたことで見逃してしまうような場所にある、と言われているように思います。そんなことを考えたら、自分だって今までいくつも見逃してきたんじゃないかと思ってしまうのですが、この作品のようにその時間に戻ったりとかはできないので、自分の選択を信じるしかないのですよね。